オンライン資格確認 導入記 (No.19) 2022. 2 .12 更新
オンライン資格確認 導入記 (No.19) 2022. 2 .12 更新
その後 6: マイナンバーカードの第3水準漢字使用について
先日, マイナンバーカードを受診された方がいました。名前の漢字に “德”という漢字が使われていました。これは真ん中に”一”がある德です。通常の”徳”とは違います。第3水準の漢字ですが,パソコンの画面上ではほとんど区別が付きません。さらに, このカードに対するオンライン資格確認の回答データには,そのまま表示されていました。そこで事務スタッフはこれをそのまま電子カルテに取り込んで, それをオンライン請求したところ,受付不能で返されました。そこで, この”德”を通常の德に書き換えて請求して,通過しました。
road14にも書きましたが, オンライン資格確認の回答データでは ハシゴ高(髙)のような当用漢字以外の漢字は「●」で返される, と理解していました。それでオンライン請求の際はトラブルを未然に回避できて,いいことだと思っていました。ところが, このような第3水準の漢字に関してはオンライン資格確認でそのまま返され, オンライン請求ではねられる, となると, ストレスだと感じます。
社会保険診療報酬支払基金本部 経営企画部企画広報課 にMailで問い合わせました。
(質問)
オンライン資格確認を 実施しています。
マイナンバーカードを持参された方の 回答データで, 名前に ”德”が使われていました。
この"德”は真ん中に “一”が入っています。通常の”徳"ではありません。これは第3水準の漢字です。
パソコンでは表示されるので(気づかず), これを オンライン請求に出しましたら, 受付不可のエラー となりました。
今後マイナンバーカードが普及すると このようなトラブルが増加すると考えます。我々にはストレスです。
また ご本人の名前の字を 勝手に変更して請求することに申し訳ない気がします。
オンライン請求でも 第3水準の漢字をカバーしてほしいと思います。
(回答)
なお、今回のご不便をおかけした件につきましては、「マイナンバーカード総合サイト」Q&Aの「Q22」に該当すると思われますことから、疑問な点につきましては、「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」へお問い合わせ願います。
マイナンバーカード総合サイト(地方公共団体情報システム機構(J-LIS))
https://www.kojinbango-card.go.jp/faq/
ということで, 肩すかしを食いました。こんどは上記のJ-LISに同様の内容で質問しました。
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)
【回答】
お問い合わせありがとうございます。
また、マイナンバーカードの券面情報についてご不便をおかけし申し訳ございません。
マイナンバーカードの券面情報は、住民票情報に基づいて作成されます。
そのため、住民票情報(名前、住所など)が旧漢字などを使用して登録されている場合は、JIS第一水準、第二水準以外の漢字であったとしても、マイナンバーカードは住民票登録のある漢字にて表記がされることとなります。
※今回の事例については、住民票登録にて「德(横一本が入った徳)」となっているため、情報として登録されたものかと存じます。
現行の運用では、このように一般的なJIS第一水準、第二水準以外の漢字にて住民票登録がされている際、その漢字にて券面表記をするようになっておりますが、この度いただきましたご連絡につきましては、貴重なご意見として承らせていただきます。
何卒、ご理解くださいますようお願い致します。
お問い合わせについては、下記お問い合わせフォームよりお願いいたします。
◆お問い合わせフォーム:https://www.kojinbango-card.go.jp/otoiawase/index.html
マイナンバーカードは住民票情報を正確に反映させる方向で突き進むようです。
マイナンバーカードの利用は 医療保険情報だけではないので,第3水準の漢字を使用するのはやむを得ない, と感じます。結局, オンライン請求システムが第3水準の漢字を受け付けることで大部分は解決すると思われます。
医療機関向けのONSサポートディスクにも問い合わせましたが,
「10月からは, 資格確認からのデータが正しいので, それを使ってください」という的外れな返事でした。ここには難しい質問はできません。
当分は医療機関側が適時 第3水準の漢字を検知してオンライン請求に使わないという自衛策をとるしかなさそうです。マイナンバーカードによってまた一つやっかいな問題が増えました。
追記
その後,もう一度支払い基金の開発部に同様内容で問い合わせてみました。
社会保険診療報酬支払基金システム開発部
すると, わざわざ担当者からTEL があって,
Edgeの画面に管理者権限でLoginして [環境設定情報管理]の項目をクリックして 利用文字コードを
[Shift-JIS]に変えたら, 第3水準の漢字は表示されないというような説明でした。
さっそく やってみました。すると, UTF-8 では第3水準漢字 “德”が表示されましたが, Shift_JISに変更すると 確かに “德”の漢字そのものが表示されませんでした。しかしまったく表示されないというのも困ります。road14にも記載しましたが,
オンライン資格確認システム 運用マニュアル R2.11 初版 には
また、病院・診療所内におけるオンライン資格確認等システムの利用文字コードをShift-JISに設定している場合、オンライン資格確認等システムと取り扱い可能な文字が異なることから、Shift-JISで取り扱い不可の文字である際はダウンロードしたファイル内の文字は黒丸「●」で表示されます。
とあります。しかしShift_JISの場合, “德”の位置に「●」の表示はありませんでした。が, 空白が見えますから, そこに何らかの文字情報(● ?)が非表示になっているのでしょうか。これは当方のレセプトシステム, あるいは解釈/技術の問題かもしれません。
オンライン資格確認にShift_JISを使用する場合, 本人に確認し忘れたら, そのまま漢字が欠落した氏名で登録されてしまうかもしれません。さらに将来, 電子処方せんを発行するときには, 本人の名前は マイナンバーカードに記載された”正しい”氏名を使うべきで, レセプトのために変更された漢字も氏名を使用するのは好ましくないでしょうし, 誤認の危険にもなるのではないかと考えます。
文字コードの問題は複雑で, やっかいです。文字コードの変更はシステムを混乱させますので, 単一システム内で作業のたびに文字コードを入れ替える作業はしないほうが安心です。
結論として, 現在のレセプトシステムが維持される限り, マイナンバーカードで返される回答XMLはUTF-8で読み取り(Shift_JISよりは正確な情報が得られるので), その漢字に第3水準のものがあるかどうかは, Scriptでチェックして, 有ればレセプト請求用の氏名を用意する, 電子カルテ, 電子処方せんには本来の漢字の氏名を使う,という自衛の方針がいいように思います。