オンライン資格確認システムの概要                         

これまでの経緯 (2月末に作成した記事)

今まで オンライン資格確認のことは 知ってはいましたが, コロナにかまけて, 対策を怠っていました。2020.12月になって, ネット検索してみるが, 厚生労働省と支払基金と企業くらいの当たり前の情報しかひかかってこない。医師会からも情報はない。世はコロナ禍の情報一色である。

厚生労働省はこのシステムを健康保険の資格確認にとどまらず, 近い将来 薬剤履歴情報, 電子処方箋,電子カルテ共有システムなどにも利用しようともくろんでいるようです。医療システムとしてはかなり大きな変革であるはずだが, ほんとうに来る3月に始まるのか? といぶかりたくなるくらい表だっては姿が見えてこない。後述しますが, マイナンバーカードのCard Readerも出荷されていません。支払基金開発部から提供される, 種々のアプリケーションがやっと出そろったところのようです。それを載せる専用パソコン端末(Windows 10 Enterprise)もやっと出荷が始まったところのようです。当方はCard Readerをすでに注文しましたがまだ届きません。すべてそろうのは3月末です。それでいきなり4月から開始できるのでしょうか?


先進諸外国はすでに医療システムのIT化を進めています。日本が遅れているのは事実でしょう。今回のコロナウイルイス騒動でも, IT化の遅れに伴う行政の非効率性が様々なところで露呈しました。というところですから, 時期尚早という批判は当たらないでしょうが, コロナ対策で右往左往しているさなかだけに, 準備が追いつかない, とグチもいいたいところです。


当方は Filemakerで電子カルテ,レセコンを作っているという特殊な立場上, どこから情報を得たらいいのかわかりませんでした。オンライン請求 ホットラインに事情を話すと, レセコンを自作しているなら オンライン資格確認のベンダーサイトに登録することを勧められました。さっそく登録を申し込むと, 以下のようなMailが送られてきました。 レセコンは”ベンダー”を介して導入, 運営するのが当たり前で, 自力でレセコンを導入していること自体, 怪しげな人物と思われているようです。右のようなEXCEL フォームに記入して申し込みました。


【確認事項】

①当サイト(医療機関等ONS)をどのようにお知りになりましたか。

②関係団体(JAHIS、歯科コンピュータ協会、ORCA)に加入していますか。

以下については②で加入していないとご回答いただいた場合にご回答ください。

③レセプトコンピュータの開発を行っていますか。

④電子カルテ/調剤システムの開発を行っていますか。

以下については③、④で開発を行っていないとご回答いただいた場合にご回答ください。

⑤レセプトコンピュータの保守を行っていますか。

⑥電子カルテ/調剤システムの保守を行っていますか。

⑦医療機器システムの開発を行っていますか。

⑧医療機器システムの保守を行っていますか。



これを提出して2020.12.24 ベンダー専用ONS(オンライン資格確認サイト?) に登録されました。

  1. *医療機関向けには”医療機関等向けポータルサイト”が ありますが, ベンダー向けONSではさらに高度な情報が得られます。


そこで得られた情報も含めて概略をまとめますと,

  1. 1.支払基金, 国保連合会に全国一カ所にServerをおいて, そこに逐一 保険証の資格を問い合わせて, 資格切れを防止する (ちょうどショップでクレジットカードの資格確認をオンラインでやっている,あの仕組みと同じであろうと想像します。)

  2. 2.クレジットカードに相当する物がマイナンバーカードになる。そのカード中にマイクロチップが埋め込んであり, そこに個人識別情報が書き込まれている。そこに保険証情報を直接記憶するのではなく, 本人確認情報が組み込まれているので, それをKeyにして中央の保険証サーバーに問い合わせて, 本人の保険証情報を取得する, と同時にその資格が有効かどうかがわかる。これによって資格喪失, 誤請求のレセプトをなくすことができるという厚生労働省の見解である。

  3. 3.マイナンバーカードの情報を読み込むときにCard Readerなる読み取り機械を使う。厚生労働省はこの機械を診療所には1台無償配布するという。

  4. 4.ただし, このReader以外に仮想専用回線なる光通信回線(IPv6によるVPN)が必須で, これには現在使用しているレセプトのオンライン請求と同じ光回線が利用できる(ISDNはダメらしい), さらに個人的なインターネット使用(IPv4)も, 同一回線でできるが, 3つのことを同一回線でこなすにはルーター(信号振り分け器)が必要である。通常のインターネット側から, この資格確認側をのぞき込まれないようにしなければならない(いわゆるセキュリティ)。このルーターの設定はやや高度な知識が必要で, レセコンのメンテを依頼している専門業者に依頼すればよい, と厚生労働省は言っている。基本的にはNTTはIPv6の通信を保証するだけで, ルーター設定は関知しないというスタンスである。

  5. 5.さらに, 通信に使う専用パソコン端末(Windows 10 Enterprise)が必要である。これは現在約10社から提供されているが, 20万円前後の相場である。実は米子市は 現在大学とのカルテ共有システム”おしどりネット", がVPNで運用されており(Windows), 最近 大学のネットでの予約システム(VPN)もほぼ同時期に開始され(強要され),一気に医療機関のIT化を強要されている, と感じます。さらにVISA,PayPayなどのクレジットカード利用圧力もあります。これらのパソコンを受付に設置すると, 狭い受付がパソコンだらけになる, だけじゃなくて,スタッフの教育も同時に進めなくてはならず, 大変厳しいと感じています。これからの個人クリニックはレセコン・電カルベンダーの介助なくしては運営出来なくなるでしょうし, そのコストも大きなものになるでしょう。正直, ここまでIT化しないとクリニックを運営出来ないのかと, ため息が出そうです。さらに現在の コロナウイルスの診療, ワクチン準備が重なって, グチりたくもなります。

  6. 6.Card Reader以外の諸費用は消費税を入れると42万円まで補助される。Card Readerを2021.3月までに申し込んだ医療機関に上記の補助が出る,といって, 厚生労働省はエサをばらまきながらコトを急がせています。前述のセッティング費用を含めても、とりあえずは 十分収まると予想されますが, 漏れ聞くところによると, このどさくさに紛れて法外な料金を請求する業者もいるらしい。

  7. 7.ただし, マイナンバーカードを取得した人は2500万人(2021.2月)程度で, それを保険証と紐付けするのに, 一手間かかる(マイナポータルというソフトを使う)ので, 当分はマイナンバーカードを保険証がわりに提示する人はいないだろうが、「これでお願い」と厚生労働省シンパの人が保険証を持たずに処理済みのマイナンバーカードを提示されて, 対応出来なければ, 医療機関の準備不足をなじられるかもしれません。

  8. 8.厚生労働省はこれを2021.3月から開始したいという思惑みたいだが, 昨今のコロナ禍で, 医療機関はそれどころじゃない状況である。菅政権のデジタル推進の旗印のもと, 厚生労働省は, 開始時期を遅らすとは言っていない。末端の医療機関はレセコンを納入した業者にセッティングを依頼すれば, 彼らがすべてやってくれるはずで, 厚生労働省も業者(ベンダー)にせっせと事細かに情報提供している。彼らに支払う手数料が10万円とすれば, 38万円までに収まり, 医療機関は懐を痛めずにシステムを導入できると厚生労働省は踏んでいます。予算は900億円も計上していますから、厚生労働省は本気のようである。  ( さすがに正式な開始は10月に延期されました。: 2021.4月)

9 .個人クリニックが高度な IT化を要求されるようになれば, それらの業務をレセコン業者に依頼せざるを得ず, これはかつてのレセコン囲い込みにつながってゆくのではないかと,危惧されます。今回のオンライン資格確認でも厚生労働省(支払基金ソフト開発部)の態度は, 当方が”ベンダーを介さない自力でのレセコン開発"を説明しても,いぶかられる雰囲気でした。今後 このような締め出し空気感はますます強まってゆくのではないかと思われます。





                                                                  
 

(キーワード: Filemaker, ファイルメーカー, オンライン資格確認 )

はじめに


2021.4.25の時点で, 実は まだ完全な導入が出来ていません。

Filemakerに限らず, 独自に作成したレセコン導入した場合, このオンライン資格確認システムに関して誰も助けてくれません(レセコンと高度な連携を達成する,という意味で )。結局, 自力で設定するしかないのです。このオンライン資格確認システムはレセプトのオンライン請求とVPNという意味では似ていますが, 資格確認はVPNの常時接続で運用するシステムということで, かなりハードルが高いと感じています。同じような問題に直面している方々に情報を交換しあうことができれば,と思い,このページを作りました。

オンライン資格確認 導入記 (No.1)