Filemakerでレセコンと電子カルテを自作しよう
Filemakerでレセコンと電子カルテを自作しよう
電子レセプト作成に関する保険上のルール等は下記のサイトから情報を得ることができます。
1. 電子レセプト作成手引き書
電子レセプトに関する情報は 社会保険診療報酬支払基金のHPの
http://www.ssk.or.jp/ のなかの
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/receMenu/ に情報がありますが,
具体的な電子レセプト作成に関しては
から "作成手引き書"をdownloadします。実際 この"レセプト作成手引き"は実にわかりやすくできています。
2. 記録条件仕様書のdownload
基礎となる 正式な仕様書は,社会保険診療報酬支払基金のHPでなく,
マスターコードを公開している厚労省(と思われる)HPから
「レセ電コード情報ファイル記録条件仕様」
資料をdownloadします。これは随時更新されるものと思います。
3. 各種マスターコードのdownload
医薬品, 病名, 診療行為, 修飾語などのマスターは 上記"診療報酬情報提供サービス"
電子レセプトの実際
電子レセプトは 単純にtext データを規則順に記載することで作成できます。
各行の先頭に 識別情報として2バイトの英数字を書きます。
IR: 医療機関情報レコード
RE:レセプト共通レコード
HO:保険者レコード
KO:公費レコード
KH: 国保連固有情報の場合に記録
SY:傷病名を記録
SI:診療行為を記録
IY: 医薬品を記録
TO:特定器材を記録
CO:コメントを記録
NI:日計表レコード 摘要情報の日毎の回数を記録
SJ: 症状詳記レコード 症状詳記を記録
GO: 医療機関単位データの最後に記録必須
以下 各項目を解説します。
IR: 医療機関情報レコード
この記載の順序, 文字数, 半角/全角 などの指定は上記"記録条件仕様書"p6に記載されてい ます。
IR,1,31,1,0218824,,グーグル医院,42110,00,0888(20)1290
IR: 医科レセプト
1: 社保 (国保 :2)
31: 県番号( 鳥取県 31)
1: 点数表コード(1 = 医科)
0218824: 医療機関番号
,, : 診療科コード(旧総合病院以外の場合、何も記録しません)
グーグル医院: 名称
42110: 請求月 (平成=4, 21.10月なら 42110)
00: マルチボリーム識別情報 : 00 (電子媒体が1枚の場合、「,00,」を 記録します)
0888(20)1290: TEL番号
社保1/国保2, 県番号 などの具体的表示は 上記"記録条件仕様書"のp30以降の"別表"に載っています。
RE:レセプト共通レコード
"記録条件仕様書"p7 以降に記載されています。
RE,1,1112,42109,成○ 美○,2,3540514,,,,,,, 83369,,,,,,,,,,,,
1: レセプト順序番号,
1112: レセプト種別, 1112は医保単独 本人
これは "仕様書"の別表に記載があります。医保単独(本人, 家族, 未就学小児...) 公費併用 など細かく分類されています。
42109: 平成21.09月診療分,
成○ 美○:氏名, 氏と名の間は空白を挿入すること, すべて全角文字なら20字で, すべて半角なら40字で記載, 全角と半角の混在はエラーとなる。以下 同様な規定が多い。漢字で40バイトは, 全角20字ということ。
2: 女 (男1/女2),
3540514: S54.05.14生 (明治1, 大正2, 昭和3, 平成4)
,,,,,,, ここには 給付割合(国保), 入院年月日,病棟区分,一部負担金,レセプト特記事項, 病床数 などが記載されるところになっているが, いずれにも該当しないのでデータなしとしている。
83369: カルテ番号
,,,,,,,,,,,, ここには割引点数単価, 予備....などが記載されるところだがデータなし
HO : 保険情報
"記録条件仕様書"p10に記載されています。
HO, 4124,茨ゑ○よ,71,1,1098,,,,,,,,,
4124: 保険者番号,
(8桁以内で設定された保険者番号につい ては、右づめに記録し残りは“スペース” を記録する。 )
茨ゑ○よ: 記号,
71: 番号,
1: 診療実日数,
1098: 点数,
,,,,,,,,, ここには食事療養, 職務上の理由, 負担金額など...
KO : 公費情報
"記録条件仕様書"p12に記載されています。
KO,85310027,3502999,,1,858,530,,,,,
85310027:公費負担者番号,
3502999: 公費受給者番号,
,, 任意給付区分(国保)
1: 実日数,
858:点数,
530: 患者負担額
,,,,, 外来一部負担金 入院一部負担金 食事療法 など データなし
第二公費があれば続けて記載する。
SY : 傷病名
"記録条件仕様書"p13に記載されています。
SY,8798022,4210927,1,20571053,,01,
8798022:病名コード(これは病名マスターから該当するものを当てる この場合は 擦過傷),
4210927: 開始日(平成21.09.27),
1: 継続 (継続1/治癒2/死亡3/中止4),
20571053: 修飾語コード,(これは修飾語マスターから該当するものを当てる, 4ケタの数字でひとつの修飾語を表す, 連続して表記する。この場合は 両側 上肢)
,, ここには未登録病名 (例えば 蜂窩織炎 ,その場合 病名コードは 0000999 となる)
01: 主病 (主傷病の場合は 01 それでなければ データなし,
最後にコメントがあれば記載
以上の文を病名の数だけ並列記載する
SI :診療行為, (検査も含む)
"記録条件仕様書"p14に記載されています。
SI,11,1,111000110,,,,,,,,,
SI,,1,111012470,,,,,,,,,
SI,,1,111012370,,323,1,,,,,,
11: 診療識別コード(別表20参照, いわゆる紙レセの診療区分, 11は 初診, それに加算があるときは次行に記載 , ここでは 初診 + 夜間早朝加算 + 電子化加算, 加算の行では 診療識別コードは省略)
1: 負担区分 (別表21参照, 医保単独なら1, 医保+第一公費なら2, 医保+第一公費+第二公費なら4, 公費単独5 などで文字が指定される, たいていは これで十分です。)
111000110: 行為コード(マスターから該当するものを当てる この場合は 初診, 夜間早朝加算 111012470+ 電子化加算111012370)
,, 数量データ(きざみ値), (単位も自動的に付与されます。手引きに詳解があります)
きざみ値 .... 聞き慣れない言葉ですが, 重要です。
例えば, ここは 特異的IgE検査 10種類(きざみ値 10) なら , 特異的 IgE検査のマスターコード160056110 のレコード内に 属性として(きざみ値計算識別値 = 1となっておれば), 単位="種類"と 記載されていますの, 自動的にその単位が "審査側のコンピュータ"で付与されます。
( 例: SI,60,1,160056110,10,1100,1,,,,,, ->「特異的IgE 10種類 1100× 1」)
マスターのきざみ値識別値 = 1なら 数量データ(きざみ値)は 省略できません。例: マスイ時間, 重複手術(指の手術), 輸血量, etc)
なお, マスターコード内の"きざみ値計算識別値"が「0」の診療行為コードについては、数量データを記録しません。初診 の"きざみ値計算識別値"は「0」です。
323: 点数。 加算がある場合, とか, 包括検査では 一連の SI 行の最後に合算して記載します。
1: 回数 , たいていは1です。 上記の例のように, 加算がある場合, とか, 包括検査では 一連の SI 行の最後に合算して記載します。また 複数回の受診で同じ行為は, 合計してここに記載します。
SI,40,2,140000610,,45,2,,,,,, (創傷処置1, 45点 x 2 回)
IY :医薬品
"記録条件仕様書"p16に記載されています。
IY,21,1,610411058,3,21,5,,,,,, (フロモックス錠[100] 3T , 21点 x 5日)
21: 診療識別コード (別表20参照, ここでは 21: 院内処方 内服)
1: 負担区分 (上記 SI に同じ)
610411058: 医薬品コード (マスターから該当するものを選択 ここではフロモックス錠)
3: 使用量 (内服なら 1日量, 外用剤なら 総量)
21: 点数 (内服なら1日の点数, 外用なら 総点数)
5: 回数(日数): 内服なら 日数, 外用剤は 1
包括して処方するときは 1日の合計点数を最後の行に記載, 診療識別コードは最初の行にのみ記載, 例えば
IY,21,1,612320183,3,,,,,,,, (タガメット錠200, 3T)
IY,,1,611140694,3,,,,,,,, (ロキソニン錠 60, 3T)
IY,,1,611240263,3,17,14,,,,,, (ムスカルムD錠100, 3T, 合計17点 x 14日)
外用剤の場合は
IY,23,1,662640580,50,134,1,,,,,, (マイザー軟膏[0.05%] 50g, 134点 x 1)
続いて 処方量, 調剤料などを 記載します。(院内処方)
SI,23,1,120001010,,6,1,,,,,, 調剤料(外用薬)6点 x 1
SI,25,1,120001210,,42,1,,,,,, 処方料(その他)42点 x 1
院外処方なら 薬剤 (IY)の行は記載しません(紙カルテと同じ)。処方箋料を算定します。
例えば
SI,80,2,120002910,,,,,,,,, 処方せん料(その他)
SI,,2,120002470,,71,1,,,,,, 処方せん料 乳幼児加算 71 点 x 1
医療行為の材料に使われた医薬品はSIのあとに連続して記載されます。例えば
SI,40,1,140000710,,55,1,,,,,,
IY,,1,662630014,3,5,1,,,,,,
TO:特定器材
"記録条件仕様書"p18-20に記載されています。
TO,,1,777770000,1,80,1,006,800,皮膚欠損被覆材:ビューゲルM,ビューゲ ルM(10x10),,,,,,
,, : 診療識別コード(別表20参照)通常は診療行為の材料なので, SIの次行に記すため, ここは略すことが多いが, Topに配置したときは 記載する。
1: 負担区分 (別表21参照)
777770000: 特定器材コード(マスターより選択), このコードは未コード化材料です。
1: 使用量
80: 点数
1: 回数
006: 単位コード(別表22) ここでは "枚"
800: 単価(円), 県ごとに相場があるようで, 基金から, だいたいの値段を指定してきます。仕入れ値より安くする必要はありません。
皮膚欠損被覆材:ビューゲルM : 特定器材名称, 40バイト というのは 漢字(全角)なら20文字以内で記載します。漢字という指定なら, 半角文字は使用できません。
ビューゲルM(10x10): 商品名及び規格又はサイズ
,,,,,, : コメント
CO: コメント
"記録条件仕様書"p20に記載されています。
CO,,1,810000001,皮膚欠損被覆材:真皮に至る創傷用
コメント行を記載する位置は自由です。行為の前でも後でも, 審査側, 保険者に理解できればいい, と考えられます。
,, : 診療識別コード(別表20参照)一連の行為の最初に記載するなら,省略できません。
1: 負担区分 (別表21参照)
810000001: コメントコード(マスターより選択), 多くのコメントコードがあります。
皮膚欠損被覆材:真皮に至る創傷用: 文字データ, この部分は種々の様式があります。診療行為によっては 必ず記載を求められるコメントもあります(熱傷開始日, 手術実施日 など)。
その他
CO,31,2,810000001,破傷風予防のため投与した
GO: 点数合計
"記録条件仕様書"p25に記載されています。
GO,2,1956,99
2: レセプト件数,
1956: 総合点数,
99: 最終ボリュームの場合は“99”を記録する。(診療所は 99)
SJ : 症状詳記
"記録条件仕様書"p21に記載されています。
詳記(説明)が必要なときはその前後に下記のような行を追加します。
SJ,03,以前よりたびたび両足の陥入爪を繰り返していたが, 七日前より両足1趾の陥入爪で痛みが激し歩行困難となり, 患部は足背まで腫脹発赤がおよび, 片足ずつの手術が不能と判断し, 入院のうえ両足の病変を同時に手術しまし た
SJ の次 01..臨床症状, 02..診察/検査所見, 03..行為理由, 04..行為の経過, 05/06..100万点以上, 07..その他
SJ,03, の次に"本文=全角文字1200字以内
"手引き書"には多様な事例が詳記されていますので, かなり参考になります。
付録: 電子レセプトサンプル